ファッションの展覧会では異例となる約8000人が来展! matohu「慶長の美」展 @ スパイラルガーデン


【FASHION EXHIBITION REPORTS】

11年1月8日〜19日にかけて、東コレブランド『matohu』(まとふ)による「慶長の美」展がスパイラルガーデン(東京・青山)にて開催された。
「慶長の美」展とは、日本の美意識が通底する服を提案するファッションブランド『matohu』による過去5年間のクリエーションと、そのインスピレーションソースとなった慶長時代の美術・工芸・出来事などを、もの作りのプロセスとあわせて紹介する展覧会である。

『matohu』では“着物でも洋服でもない新しい服”として「長着(ながぎ)」というアイテムが毎シーズン継続して作られている。普遍的なデザインで作られたこの「長着」は、matohuのオリジナルな服として広く認知されている。この代表的な長着が限定で復刻され、販売・受注が行われた。
展示スペースの一部には、商品を自由に着用できるコーナーも設けられており、自分なりのコーディネートを楽しむ人の姿も多く見られた。また期間中は、10シーズン分の展覧会特製バッグや小物などが並び、桐箱入りの“慶長の美絵巻物”も数量限定で販売された。

慶長の時代とは?
matohuのクリエーションと密接に関わる“慶長”とは、 桃山時代後期から江戸時代の初めの20年間(1596年~1615年)の期間を指す日本の元号の一つである。
ヨーロッパの文化が持ち込まれ、壮快かつ愉快な気運が高まっていた当時、人々の生活にはより大胆なデザインが見られる様になった。たった20年でその幕を下ろした慶長時代。その逞しくも儚い文化はとても魅力的なものだった。その魅力を、matohuのデザインを通して堪能できる展覧会となった。
各シーズンの長着が垂れ幕、映像等とともに並列に展示された。
エントランスに配置された映像では、職人の製作工程が上映された。
長着のイメージを汲んだ小物も展示された。
最深部には、円を描く様にマネキンが配置され、matohuの魅力が会場を包み込む。
各シーズンのショーインビテーションも展示された。
絵巻物を収納するための桐箱。ここからもmatohuの美意識が感じ取れる。
白い壁にディスプレイされた15種類のバッグは、長着などに使ったオリジナルの生地で作られている。
展覧会初日から会場に多くの人が詰めかけた。11日間で、ファッションの展覧会としては異例となる約8000人の来場者数を記録した。

【IMPRESSION】

流行の移り変わり激しいファッション業界において、普遍的なテーマを元に行ってきた勇気や慶長という時代や文化への敬意が込められ、matohuの5年間という歳月を経たクリエーションに対する発表の場として相応しい展覧会でした。

商業的な展示会とは異なり、作品の他にインスピレーションソースも併せて展示されていた事は、matohuのファンだけでなく物作りをしている人にとっても、どのように過程を経て、創作に転換されているかを垣間見る事が出来、「興味深かった」という来場者の声が印象的でした。

11日間という決して「長い」とは言えない中で、一つのブランドの展覧会に約8000人が集まった事実、こういった取り組みが今ハイ・ファッション業界に求められている事の一つではないでしょうか?
ファッションないしブランドの文化的価値を高めていく上でも、改めてこのようなファッションの展覧会が重要である事を感じました。
そして、この結果を受け、間もなく始まる東京コレクションで、どういった展開が見られるかも注目です。

また、今回オフィシャルで撮らせてもらい、各媒体さんでも写真が掲載されていますが、なにより自分がこういった素晴らしい企画に少しでも関われた事が光栄であると同時に、東京だけでなく、地方や海外で開催をして多くの方に見てもらいたいです。

写真、文:スナオシタカヒサ
Photo,Text by Takahisa Sunaoshi Text Assistant by Keigo Isashi